テレビマンガ倶楽部 (国産アニメ/1974年)
星の子ポロン
〜教育アニメか?虐待アニメか?〜

 『星の子ポロン』は1974年4月より1年間、毎週月曜日から金曜日に放送されていた5分のアニメ番組である。製作は日本動画と時報映画社でテレビ局は関与しておらず、地方局へ販売するという方式がとられていた。最初に放送されたのが北海道文化放送で、東京(東京12チャンネル)で放送されたのは77年になってからだった。

 時を同じくしてタイトルの良く似た『星の子チョビン』もスタートしており、混同している人もいるかもしれないが、こちらは石ノ森章太郎原作による全国区のゴールデンタイムのアニメ。かたや『ポロン』は地方局のみの放送で一時間番組(実際には55分)の隙間を埋める穴埋め番組に過ぎない。見るからにものすごい低予算であることは間違いなく、一秒8枚と言われた初期の国産TVアニメよりも明らかにセルの枚数が少ない。よく教科書の隅に落書きして作ったパラパラマンガの方がよっぽど動きがスムーズなくらいだ。

 まぁしかし、それはそれで仕方のないこと。問題は内容である。基本的には子供の情操教育番組であり、子供たちに社会のルールを教えるという趣旨になっている。ルールを守らない困った子供たちを宇宙人のポロンがその超能力で懲らしめるというストーリーだ。子供たちと言ってもここに登場するのは人間ではなく動物の子供ばかりなのだが、それも子供向けとしてはよくある設定だ。しかし、子供を動物にすることでキャラクターに感情移入しにくくなり、ややもすると子供ではなくただの物体にも見えてくる。それをいいことにポロンは次第にやりたい放題に動物の子供たちを虐待し始める。

 本放送以来見ていないので記憶はあやふやなのだが、たとえばこんな話があった。子供たち(動物)が公園の滑り台で遊んでいる。カバだったか、クマだったか、一匹のワルガキが順番を守らずに割り込んでしまう。それを上空の円盤から見ていたポロンは光線を発射。たちまち滑り台の着地地点に無数の針が・・・。ワルガキ、針に刺さってとびあがる。「順番を守ろうね」とう言いたい訳だが、これが動物でなくて人間の子供だったらどうだろう。確かに順番を守らないのは悪いことだが、針山に人間を刺すというのは地獄絵図にも描かれているほどの残酷な行為。いくらなんでもやりすぎだ。最初こそソフトだったが、シリーズの途中からは他の話もみんなこの調子で、なんと260本も製作、放送されている。子供に全話見せたらとんでもない大人に育ちそうで、恐ろしい。

 ところで、藤子F不二雄の短編マンガに『ウルトラスーパーデラックスマン』というのがある。絶対的な超能力を得た主人公が世の中の不正を許すまいと立ち上がり、ちょっとした悪い事をした者に対してもボコボコにする。腕を引きちぎり、足を引き裂き、やり過ぎて死なせてしまうことも少なくない。それでも彼は悪いことをするやつが悪いとばかりに、正義の名のもとに暴力の限りを尽くす。正義の味方を見事なまでに皮肉った傑作だ。ポロンの「懲らしめ」はウルトラスーパーデラックスマンの正義の暴力に限りなく近いような気がするのである。何でもできる自分の力に陶酔している・・・もちろんそんな描写は本編中にはないが、彼の無茶苦茶な行動を見るとそうとしか思えない。

 ちなみにポロンの声を演じたのは野沢雅子。昨今、バラエティ番組で「悟空の声の人」としてよく出演しているが、一度でいいから「ポロンの声の人」として出演しているのを見てみたい。

(文中敬称略)

2005.10.01
『星の子ポロン』
■製作/日本動画、時報映画社
■放映局/北海道文化放送、他
■放映形式/カラー、5分、全260本
■放映期間/1974年4月1日〜1975年4月4日放映
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