●東日本大震災と原発事故からこれからの暮らし方を考えましょう●



このたびの震災におきまして被災された皆様に心よりお見舞い申しあげるとともに、一日も早い復興を切に願っております。

地震発生後の福島第一原発の爆発事故で大気や土壌の放射能汚染、その後の高濃度の汚染水の放出で海洋の汚染も確実になりました。

これから懸念されることは、空気・水そして食べ物に含まれる放射性物質による体内被曝の危険性です。
食べ物については食物連鎖による放射性物質の”生物濃縮”が始まり、健康被害への長期的な対策が必要になるでしょう。

今回の事故ではっきりしたことは、政府や学者を含めた専門家の見解をそのまま鵜呑みにしては、健康や安全を確保できないことから(専門家や当事者が「想定外」という言いわけをしてはならない。)”自分で判断して行動”することを余儀なくされたと言えるでしょう。

そもそも二酸化炭素削減による温暖化防止という目的さえ確かなものではなく、(限りある資源を大切に使うという意味では間違いではないのですが・・)、安全が保証されず、後の世代にまで放射能の禍根を残すことが決定的になった事から、
今後、原子力利用は難しくなり、国際社会は確実に省エネルギー推進や、代替エネルギーへの転換という方向に向かっていくことでしょう。

社会全体のエネルギー供給システムに関しては、新しい研究開発に期待するとして、「電力に関わるコストを
別に振り分ける」という観点から個人や家庭で出来ることを具体的に考えてみましょう。

実は送電線で送られてきた電力を熱に変換する事は、かなり無駄が多いのです。生活の中で熱力を必要とするものは、熱エネルギーを違った形で取り入れる事を考えましょう。そのような観点からハード面では・・・

電力依存からの転換(設備・装置)

・太陽光発電
・太陽熱温水器
・小型コジェネレーションシステム(自家発電と同時に熱を利用)
・LED蛍光灯(熱を出さず、消費電力が小さい)
・天然ガス利用(コンロ・オーブン・お風呂・暖房)
・薪ストーブ
・省エネルギー住宅への改築(断熱による冷暖房の効率化など)

・・・など

小型コジェネレーションなどは高価で気軽に導入出来ませんし、項目によっては都市型の生活には向いていないものもあります。しかし戸建ての住宅の場合は、ある程度導入が可能ではないでしょうか?

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一方でエネルギーのムダを省く”暮らし方の工夫”(ソフト面の改善)は、どの家庭でも取り組みが出来ます。

・節電・節水
・地産地消/地域のお店の利用(輸送に関わるエネルギーの節約)
・ゴミの減量(焼却やリサイクルに関わるエネルギーの節約)
・移動手段の工夫(自動車→自転車・公共交通機関)
・家庭菜園/ベランダ菜園(自分で生産し、消費する)
・夏場の高温回避(エアコン→緑のカーテン・遮光・打ち水など)

・・・など

これらの”暮らし方の工夫”は家計や経費の節約や、自粛ムードといったような経済が停滞に向かうと考えられがちですが、そこで生まれた差益を別のところに差し向ければ、むしろ豊かな社会が実現できると思います。

また、企業や組織では”働き方の工夫”で、かなりの省エネ化が図れると思います。例えば2011年3月28日の化学工学会の計画停電回避のための緊急提言は、非常に話題になっています。(右図 化学工学会HPより )


考えればまだまだ沢山あると思いますが、出来るところから始めましょう。
これからは国民一人ひとりの工夫と知恵で、新しい社会の再構築が始まります。



*:夏場の電力不足予想から計画停電を避けるために、電力に余力のある土日に働くようにしたり、工場や大学などの勤務時間を夜にシフトしたりする。といった提言。(図参照)昼休みを電力ピーク時の13〜16時に作ったり、在宅勤務を増やしたりすることも含め、1000万キロワットほどの不足分のうち520万キロワットを削減できるとした。

追記:4月9日現在、"東電、計画停電は6月3日まで「原則不実施」"という発表がありました。また、"企業・個人双方の需要抑制によって、電力需要が増加する6月以降の夏季においても、計画停電の「原則不実施」を貫き通すことを目指していく"そうです。

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2011年3月末に書いた原稿なので、実際の状況は変わっています。
2011.04.29


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