●「田主丸だより」2004年I 1月号●

そもそも僕は東京で生まれ育ったので福岡の人間ではないのですが、田主丸に住み付いた頃、いろいろな人が手を貸してくれて"福岡の人は熱いなぁ〜"と感じました。最近も福岡県内外で活躍する街づくりのグループの方々と話す機会がありましたが、いわゆる”のぼせもん”という方々が大勢いらっしゃいますね。よって、今回は福岡の"熱い人々"について書いてみたいと思います。

僕が公私共にお付き合いいただいている方々はだいたい団塊の世代の年齢層が多いのですが、共通点は"少年の心"を持っていてるんですね。そして事あるたびに飲み会を始めて、ものすごい量を飲むけど楽しい話ばかりで、いつも前を見ていると言うか、夢ばっかりを語るのでとても面白いのです。これによってもともと下戸だった僕もそれなりにお酒を飲めるようになりました。

畑にソバの種を撒いて、収穫までしたものを自分たちで食べる。手植え・手刈り・無農薬で米を作る。大豆も作って納豆・味噌まで手作りする・・。などなど、この手の楽しい事に僕を巻き込んだのは、彼ら福岡生まれの"団塊の世代"でした。

そんな中でも家族のように付き合っていただいている、手作りでオカリナを作っている大熊政博さんにこの世代の代表としていろいろと質問したことがありました。何故そんなにあなた方の世代は馬力があるのか?何でそんなにいつも楽しそうなのか?どうしていつも少年のように好奇心に溢れているのか?

『僕らの年代はとにかく同級生の数が多かったのと、例えば小学校の頃にテストの成績の順を張り出されたり競争が激しかった。とにかくいつも競争。何かで目立たないと大勢の中に埋没してしまっていたからね。』なるほど。集団就職・学生運動・ダダイズム・ヒッピーなんかはそういう中から生まれたのかな・・『人生は車のハンドルと同じですよ。遊びがないと、危なくて運転できないでしょうが。』『遊び心を持つのは大事。だけど、"遊び"は訓練しないと出来ないよ。仕事ばっかりで定年後に何かやろうと思っても難しいと思う。』『自分たちでやるから楽しいし感動するよ。ソバなんか食べるところだけやっても感動しないよ』

大量生産・大量消費それに伴うバブル経済とその崩壊は、ひょっとすると彼ら"団塊の世代"の圧倒的な"数"によるものだったのかもしれないと僕は勝手に解釈してます。でも、大熊さんの最後に紹介したコメントのように彼らはまたその解決策も内に秘めているような気がします。人間本来の生活を取り戻す鍵を握っているのではないかと・・。要するに自分で努力して手に入れたものだけが、価値のあるものだという考え方に僕は大きく頷くのです。

そういう意味ではスローフードという言葉は、まだ発展途上だと思います。誰かに与えてもらった"質素なごちそう"を食べるのではなくて、自分たちで汗だくになってやっと手(口かな?)に入ることに意味があると思います。

工房の日曜日の夕方は
大熊さんのオカリナの
音色が響きわたる。
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大熊政博さんのホームページ 
(本業は設計事務所なのです。)

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