●「田主丸だより」2003年D 8月号● | ||||||
数年前、お客さんが『怖かったですぅ〜。』と言いながら歩いて工房にやって来た。 『銃で撃たれると思ったんですよ〜。』 『??』 『ほら、聞こえるじゃないですか、鉄砲を撃つ音・・』 『え?』そう言われてみれば、ぱ〜ん・ぱ〜んという音が・・。 『猟銃で撃っているんでしょう? ずっと歩いていたんですけど、弾に当たったら怖いから、音がするたびに隠れながら来たんですよ・・。』 ・・そうか。こういう所だとイノシシを鉄砲で撃っていても不思議じゃないもんな。彼女には悪かったが、つい笑ってしまった。 丁度ぶどう(巨峰)が熟した頃の出来事でした。これは収穫前のぶどうを鳥や動物に食べられないように、威嚇音を鳴らしているのでした(それもかなり大きな爆音)。そういえば僕も引っ越してきた当初は驚いたけれど、いつの間にか慣れてしまったのでした。本当に慣れというのは恐ろしいもので、改めてこんなにでっかい爆音がしても耳に入らない自分に驚いてしまった・・。と、その爆音の原因を説明すると彼女も安心したようで、笑顔で帰っていきました。 こういう『音』に関する逸話はまだあります・・。 有線放送というのがあります。集落ごとにその地域の区長さんや町役場から、各家に取り付けてあるスピーカーを通して連絡事項を放送するものです。だいたい朝と昼、夕方に放送があります。これが『こんばんは』などと大きな音で始まるのでお客さんがびっくりするわけです。『あっ、誰か来たよ』あるいは『は〜い』と、お客さんが返事をしてしまうこともありました。これもずっと聞いていると慣れてしまうんですね。僕の生活の中ではすでに空気のように当たり前の事になっていました。
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