今年の春に廃止になったが、このあたりは月末になると国民年金の保険料を地域の班長さん(町内会の役員さん)が集金に来る。
徴収する本人は町の代理で月末に来るのだが、毎度驚く。
ここに引っ越して来た当初は「信じられん・・」と思っていたが、
町役場で聞いたら「これに従ってくれ」と言う。従った。
数年前に東京の友人が遊びに来ていた。
なぜかその日は、わが工房はお客さんが多く売上げが沢山であった。
「やった〜」
「おまえすごいな」
「日銭が入るのが店をやっているメリットだな」
などと弾んだ会話をしていた。
そして、その数分後、近所のおばちゃんがやって来た。
「年金の保険料を・・」
タイミングが見事なのである。
ほんのひと時だけの豊かなフトコロは一瞬のうちに空になった。
別におばちゃんは見計らってきたわけではないし、町の徴収役を仕方なく引き受けているのである。
「お前のトコの金の流れが良くわかったよ」友人はそうつぶやくように言った。
そうなのだ。お金は入ったと思うとあっという間に出て行くのである。右から左へ。しかも払ったお金のその行方は良くわからないのである・・・。
その晩は友人(料理人である)が庭にあるトマトと唐辛子でおいしいスパゲティーを作ってくれた。プロが慰めに作ってくれたおいしいスパゲティー・・。
ちなみにこの役を去年1年間は僕も引き受けた。
僕も不思議な訪問者の一人であった。
そしてこの制度は見事廃止されたのである。
2002.06.19 |
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