放送局で、毎月受信料を集めるところがありますね。
引っ越してきてしばらくすると、鼻を利かせてやって来る。
「え〜、受信料を・・・」当然というような顔ですでに工房の中に入っている。
「うち、テレビないよ。」
「いまどきそんなことなかでっしょが?」
「いやホントにないんですよ。」
「い〜や、そげなこつはなかですばい」
むこうも遊びに来てるわけではなく、段々真剣になってくる。
テレビを確認しに家の中まで上がり込まれたら嫌だな。
でもない物は無いんだ。
しばし沈黙の後
「それじゃまた来ますけん・・・・。」
数ヵ月後にまたやって来た。
また同じように
「うち、テレビないよ。」
「いまどきそんなことなかでっしょが?」
「いやホントにないんですよ。」
「い〜や、そげなこつはなかですばい」
しばしの沈黙の後
「それじゃまた来ますけん。」
と言ってきびすを返して、おじさんがふと振り返って家の上を見ていた。
「あ〜」と言っているような顔だった。なんだろうか?
そうだ。テレビアンテナが折れていたんだ。
前に家の上でものすごい音がして、なんだろうと思ったらアンテナを支える支柱がぽっきり折れていた。
必要がないのでいまだに折れたまま。
したがっておじさんは二度と現れなかった。
我が家はもう8年以上テレビを持たない。
特に必要とも思わなくなっているが、唯一、非常に困るのは台風が来そうなとき。
ラジオで聞いていてもどの辺にあってどういう方向に向かっているかがちっともわからないのである。
そうか!ネット上で台風情報は見ることができるな!
ますますおじさんと会う確率が低くなった。
2002.06.22 |
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