●このあたりの方言3●



『ユリイカ』という映画を見たことがあるでしょうか?隣町の甘木市周辺を中心にわが田主丸町もロケ地として映像の中に出てきます。
したがって出てくる俳優さん達も基本的にせりふはこのあたりの方言でした。「あんた、いっちょんすかん。(大嫌い)」「きさんだれか(てめぇ 誰だ)!」とかいう言葉が沢山出てきて『そうそう。こんな感じ』と思って喜んだのであった・・。

そうそう。ここに越してきた頃は、地元の人はなんだか声が大きくて喧嘩しているようだと思った。僕は声が小さい方なので、何らかの会議の場などで議論をすると、その声の大きさに圧倒されてしまうことが多々あった。
例によって思いつくままに並べよう。

*こしごし・・・ゆっくり少しづつ(の意味だと思う)
*かくち・・・・かくうち→酒屋さんの中にカウンターが あって『立ち飲み』するような場所。表記も『かくち』らしい。
*ひらくち・・・マムシのこと。頭の形に由来することば。
 引っ越して来た当初、近所の人に『ここら辺でひらくちに噛まれて死んだもんは・・・』間があったので「いない」というかと思ったら、
『一人おる。』と言われて驚いたことがある。
*ちょいーと・・表記どうり「ちょっと」の意味だが、これに続く『あきれた』とか『まいった』とかの感情表現の省略形として、どちらかというとあまりいい話でないときに会話のあい間に頻繁に出てくる。 アクセントが「いー」のあたり。
*呼ばれる・・・お茶やお酒などを勧められて、「いただく」とき。
*よんよん・・・赤ん坊などを抱っこしてあやすことば。
 例文 さぁ〜、ばあちゃんとこでよんよんして貰いなさい。

*たきもん・・・表記「炊きもん」→薪のこと
*ぼんこし・・・杭を打つ木槌の巨大なやつ。
*くらわす・・・殴る 「きさんくらわす!」と言われたら、逃げよう。

方言というのは立派な文化である。ここで書いたように、音を字で表記するのは限界がある。少なくとも本や活字からの知識ではなく、小さいときから『聞いて話して』育つことで身についていくものだろう。
具体的な名詞「びきたん」「ひらくち」「たきもん」「ぼんこし」など、都市化が進むにつれて生活の中で目に付かなくなるものは、真っ先に消滅していく運命にあるような気がする。そして核家族化が進み、テレビなどが生活の中心にあると、さらに土地の言葉は使われにくくなるだろう。

何でもそうだが、多様性こそ人間を含めた生物にとって、重要な生きるための戦略だと思っている。いろいろな人間がいて、いろいろな方言があるから楽しい。
たかが言葉であるが、日本中みんな同じ言葉を話していたら味気ない世の中ではないですか・・・。
がんばれ!筑後弁 といつも思っている。


今回で『このあたりの方言』のシリーズは終了しますが、興味のある方は
幸恵さんのこのページを覗いてみてください。(消滅したような言葉も載っている。)

幸恵さんの田主丸の方言

2002.07.09


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