●自宅で出産を1●




数日前に三人目の子供が生まれた。
病院ではなく自宅で。

我が家にはかかりつけの助産婦さん(なおさん)がいて、三人ともこのなおさんにお世話になっている。
なぜ自宅で、一人の助産婦さんに関わってもらっているか?に関しては後日書くことにして、今回の出産の経過を書いてみたい。

出産予定日を4〜5日日過ぎていたが、もう三人目にもなると別に不安に思うこともなく、そのとき慌てればいいかと結構のんきに構えていた。それよりも目の前の仕事や、お盆で保育園が休みの姉のひか坊と悪い盛りのしんべえの相手で手一杯なので「生まれるのはお盆が終わってからにしてくれ。」とおなかの子にお願いしていたのである。

この4〜5日は朝になるとカミさんは「おなかが張る」と言うので「今日かな?」と思いながら仕事をしていたが、すぐに「治った。」と言うので、この間とにかくやれることをやっておいた。

出産当日の朝、「今日かも。」と言うので、仕事もそこそこに布団を敷いたりして準備をしていた。
僕の母親が孫の相手と出産の手伝いでやって来た。
ひか坊としんべえは興奮気味で、ボルテージが下がらない。

お昼前にわが町のパソコン屋さんのテッシー登場。
彼が「隣町の公園におっきいプールがあるよ。滑り台もあるゾ。」と教えてくれた。何の気はなく話を聞いていた。

お昼を過ぎて、なおさんがやって来た。
ちょっとカミさんの様子を見て、「ん〜、夕方には来ないな。」と言う。
テッシーの話を思い出して、僕が「プールに行ってきたら?」と言うと、本当にみんな車に乗って行ってしまった。一人でお留守番・・。

子供達はプールで発散してくたびれて寝るかと思ったら、ますますパワーアップしている。そのまま夜の10時まで暴れ続けた。なおさんもこの二人の相手に手を焼いて、くたびれたようだ。(マジメに相手をしてはいけない。)

10時になって、やっとしんべえが眠りに就いた。すると、すぐにカミさんに陣痛がやって来た。部屋を暗くして、椅子にもたれて四つんばいになる。今度の潮に乗って来たようだ。(←潮が満ちてくる時間)こんな時に限って電話が鳴るが、無視する。

腰から下を僕がさする。ひか坊は椅子が倒れないように重しになって椅子の上に乗っかって「がんばれ!」と叫ぶ。

「ハーイ。楽に息を吐いてね。」
「声を出していいよ。」となおさんは淡々とカミさんに語りかける。

僕は11時半頃まで延々と腰をさすっていたが、まだ出てこない。
なおさんがバックから何か取り出して、台所に走っていった。戻ってくると何かフォークのようなものの先が赤く光るものを持っている。
煙が立ち昇っている。(暗いので良くわからない。)
なんだなんだ???
それをカミさんのお尻のあたりに当てる。なんだか熱そうだな。
「あ”〜」とカミさんが叫ぶと、
「あ!お顔が出てきたよ!」
ひかぼうが椅子から飛び降りてカミさんのお尻を覗く。
「かわいい〜。」(え?そうか?俺は見れないなぁ。)
するとすぐに出てきた。
「わ〜!生まれた〜。」みんな声を上げた。
「しんべえが寝て、用意が出来るのを待って生まれてきたね。」

きれいなのである。血が付いているわけでもなく、頭の形も丸い。元気に泣いている。
へその緒を血液が流れているが、じきに血流が止まった。僕の母がはさみで切る。

しばらくして胎盤が出てきて、無事出産が終わった。
初乳を赤ちゃんにやる。しっかりおっぱいに喰らいついた。
しんべえが寝ていたので取られずに済んだ。良かったね。

「そう言えば、あのフォークみたいなのは何?」と聞くと、
テルミー*の大型版。」と言う。

なおさん「出てきそうで、止まってしまったから、暖めて刺激してみた。」
僕「熱くなかったの?」
カミさん「あったかくて気持ちいいと思ったら、あれで一気に赤ちゃんが下がってきた。」
なんだ、すごい必殺技を持っているんだな。
なおさん「あんなにすぐに反応するとは思わなかった。」

みんな寝たのは明けて、2時半頃。
遅くなったので、なおさんも泊まってもらった。
ちょうど暑さが一段落して秋の気配を感じる夜であった。(熱帯夜でなくて良かった。)
奇しくもカミさんとこの子は誕生日が同じ日になった。


2002.08.23

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