●自宅で出産を4●




なおさんは4日目の訪問で、『赤ちゃんの体重も増えてきたし、お母さんの体も問題ないから訪問は今日で終わりですね〜。』と言った。
母体が安定しなかったり、新生児が体調が悪かったり体重が増えないと、何日も通わないといけないらしい。
そんなときは、せっせとヒーリングやマッサージをするらしい。

「奥さんの体調は順調に回復してるけど、旦那さんが調子が悪いのはやっぱり身代わりになってるのかなぁ?」
「そう。僕の方が産後のヒダチが悪い。」
・・・笑うな。
「それじゃ、旦那さんの治療をしましょうか。」
「今日はどんなことするの?」
「別に大した事じゃないよ。ただ舐めるだけ。」
??? 舐めるって・・ちょっとあなた・・まさか○○を?・・(本気でうろたえる。)

「ホメオパシー(homeopathy-同種療法)って言って、イギリスとかでは結構やっているんだけど、レメディー(薬をものすごく希釈したものを飴玉のようなものに入れ込んだもの)をただ舐めるだけ。」 なんだそうか・・。

とにかく病気や症状について問診(Q&A)を繰り返し、その根本の原因をなるべく深いところまで探す。その原因というのは、単純に表面的なものもあるが、場合によっては事故によるショックや幼少の頃の経験による精神的な傷(トラウマ)にあったりもするそうだ。そうして探った原因に対してある意味で同種の波動を持つもの(レメディー)を与えるということらしい。
だから、問診の結果によっては与えられるレメディーの種類が全く違うことがあるし、上手く原因が探し出せると劇的に効果が現れるらしい。

その問診を受けた。
まず、どんな症状か、症状の現れ方は、その症状の程度は・・?(これは僕の個人情報になるから、内緒にしておくのだ。)
それから原因を探る。

「力の入れすぎ、力みすぎ・・」
「あっ!それそれ。」
「飲みすぎ・食べすぎ・刺激のあるものを食べた・・」
「いや、そういうことはないなぁ。」
「精神的なストレスがある。」
「あっ!それそれ。子育てで激しいストレス!」

「ということは・・これだな。」(瓶からシリカゲルのような小さな粒・・これがレメディーらしい・・を僕の口の中に一粒入れた。)
ココロの深いところに原因はないのかな?

本当に小さな飴玉のようで、甘い。
なにしろ波動でしかないから、物質として検出できるのは砂糖(果糖、ショ糖など)以外にない。だけど問診でぴったり原因と一致すると、劇的に効くことがあるし、一致していなかったら、ただ飴玉をなめただけ・・というようなことらしい。
だから、妊婦さんが陣痛が来てはいるけど、どうしても赤ちゃんが出てこないときに、助産婦さんはこのレメディーを使うことがあるそうだ。なおさんはそういう非常時の時のために持ってはいるらしい。

「時間がないから、簡単な問診で済ませたけど・・。で、どう?」
「なんとなく良くなったような気もする・・。」そう、気持ちの問題かもしれない。劇的に効いたかどうかは・・わからない。

「今日で最後だから、今度は俺がなおさんの体を調整しよう。」
「え?いいんですか?」
僕がやるのは結構激しいので(それでもかなり加減してやったが)・・
「ぐえ〜」
「痛い〜」
この人も体がぼろぼろなのだ。顔には出さないが、体力気力ともに結構消耗しているのだろう。

いずれにしても、なんとも不思議なしかも楽しい自宅出産であった。毎日なおさんがうちに来ていたので、家族のように感じていて明日からもう来ないとなると、なんとなく寂しいような気がした。
まぁしかし、いろいろお世話になりました。ありがとう。

三人姉弟の真ん中になったしんべえは、赤ちゃんの飲むべき母乳を激しく奪い取り、丸々と太ってきた。しかも、妹ができたという現実を頭の中で整理できていないので、夜中にヘンな夢ばかり見ているようで、毎晩数時間おきに激しく泣き叫ぶ・・・。姉のひか坊もそれにつられて泣き叫ぶ。
そして妹もその騒ぎにつられて・・。

毎晩次々に激しく泣き叫ぶ子供らを抱っこしたりおんぶしたり・・・毎日寝不足です。
この現実に僕の産後のヒダチはどうなるのか。

2002.09.11
2003年 11/29お産シンポジウム詳細
ブログ『耕す場所』


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