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過払い訴訟争点(充当・消滅時効)
現在の訴訟実務上、貸金業者が争ってくる争点につき、簡単に解説します。
1.基本契約が同一の場合
同一基本契約の場合、利用していない期間があったとしても、完済時に発生した過払金は次の借入金に充当されるというのが最高裁判所の判例ですので問題なく充当できます。(平成19年6月7日判決)
2.基本契約が別の場合
基本契約を締結し、一度完済した後に、しばらく利用せずに、再度基本契約を締結して借り入れをしたという場合です。
この場合、平成20年1月18日の最高裁判所を参考にした具体的事情を鑑みて充当されるか否かが判断されることが多いです。
この最高裁の判決が出てから、かなりの業者が争ってくるようになり、一筋縄では和解できなくなりました。
別紙Aは、一連一体が認められた場合の計算書です。別紙Bは、貸金業者側の分断、消滅時効が認められた場合の計算書です。
こちらの主張するとおり一連一体が認められた場合の過払金は5,136,991円となりますが、貸金業者が主張するとおり分断や消滅時効が認められると平成6年9月6日に発生した過払金の2,105,197円は消滅時効となり、全く取れなくなってしまいます。
そして、別紙Bのとおりの平成10年2月27日からの取引で発生した過払金のみとなってしまい、取戻しができる過払金が494,699円となってしまいます。
訴訟実務上は、ある程度(数年間)の空白期間(利用していない期間)があると充当は認められにくくなっています。
ただ、貸金業者によっては、完済したあと数日後に再契約して形式的に契約を結び直ししたような案件でも別契約だと主張して、充当を認めないため注意が必要です。
過払金の消滅時効が10年ということで、提訴日から10年以上前に発生している過払金は消滅時効にかかるかという争点。
仮に別紙1の具体例で、平成20年1月1日に提訴した場合、貸金業者側は、平成9年12月25日までに発生した過払金1,968,002円は消滅時効にかかっているため、返金できないと主張してきます。(個別進行説)
仮に貸金業者側の主張が認められると過払金は1,693,681円(別紙2)となってしまいます。
こちら側は、消滅時効が進行するのは、最終の取引日や専門家に依頼した日であるとの主張をします。つまり、具体例(別紙1)でいうと平成20年5月以降から時効が進行し、完成するのが平成30年であるとの主張です。
こちら側の主張が認められた場合の過払金は、4,864,762円となるのでかなりの開きがあります。
但し、同一基本契約の場合、提訴日より10年前に発生している過払金以上の金額を最終の取引日から10年以内に借り入れしていれば、そもそも消滅時効の対象となる過払金がなくなるため、消滅時効という問題は発生しなくなります。
仮に貸金業者側の主張の一部が認められたとしても別紙1の具体例の場合、平成10年以降の貸付金の合計額である538,000円は、充当されるため、平成10年以降は借り入れをしなかったことと同一の結果になり、それを前提として計算すると2,361,560円が過払金となります。
このケースの場合、平成9年12月25日までに発生した過払金1,968,002円の方がそれ以降の借入金よりも多いため、消滅時効の問題が発生するわけです。
実務的には、一部の貸金業者は訴訟上で強行に争ってくるのでそれなりの対応が必要です。こちら側が有利な判決が多いですが、高等裁判所レベルでも貸金業者側が勝訴している判決も出ています。
最高裁判所の判断はまだなされていない状況です。
平成21年1月22日の最高裁判所の判決により、取引が継続していれば10年以上前に発生した過払金でも消滅時効の対象になることはほとんどなくなり、全額の回収が可能となりました。