●懐かしい人が来た●



以前、放浪する詩人 『島居祐示』氏のことを書いたけど、彼が突然やってきた。

その後、どうやら出版元の会社が廃業したりしたけど、めげずにずっと旅をして回り、自分の書いたハガキや残った在庫の本『えび天うどん三百六十円』を売って頑張っていた。リヤカーに本を積んで、良い場所があると中からパネルなどを取り出して、旅の記録や絵ハガキを並べてちょっとしたギャラリーができるようになっている。その間、やはり路上生活をして旅を続けるうちにまた本の出版の話が来たらしい。「今度は頑張るよ。」旅先から電話が入ったのはおととしだっただろうか?あるときは箱根の山から電話が来た。「リヤカー引いてさ、箱根の山を制覇したよ!誰かに話したくて電話したんだ。」

今年、その頑張った結果新しい本が出版された。『成り行きはぼくの味方』 成り行きはぼくの味方・・・なんだ僕の生き方みたいな本だなと思った。で、今度もまた自分で本を持ち歩いて、また延々と旅をして自分の本を自分で売るのである。「今度はバスと電車。さすがにリヤカーはもうきつい。でも、今度は時々ホテルに泊まれるから少し進歩したね。」今年の春に福岡に来た時に話をした。

数日前に友人が「彼が福岡に来ているらしいよ。天神あたりで個展をしてるみたい。」と言っているのを聞いた。

そしたら、今日突然やって来たのである。何故かカメラクルーなどを連れている。「ドキュメンタリーを撮ってるんだ。」そう話している間も何故か撮影されている。そうか・・・、ドキュメンタリーだもんな。
でも久し振りなのでいろいろ話していたら、スゴイ事になっているなぁ〜。福岡の紀伊国屋書店で1週間キャンペーンをしたそうだ。そしたらこの店での売れた本の数が1000冊を超えて、あの「死の壁」「バカの壁」を抜いて売り上げ2位らしい(週間ランキングだと思うけど。 ちなみにアマゾンでも在庫がなくなりつつあるみたい。)

「しかし、自分で書いた本を持ち歩いて路上で売った人間なんて珍しいだろうな。新しいマーケティング手法だね。」「そう。出版社も驚いてるよ。」・・

彼はある種の天才肌である。天才が努力してるから強い。いい事言ってたな。「お金はあるだけ使ってしまうから残るわけないよ。だけど創造する事はどこでだって出来るから、ずっと頭の中に残しておけるんだ。」

なにしろドキュメンタリーの取材中なので、スケジュールがあるらしく話したいことの半分も話せないまま行ってしまった。前に旅先から電話が来た時にこう話していた。「マスコミに登場するのもいいけど、その先が大事だと思う。」多分彼なりの答えが、すでに出ているに違いない。

くたびれている人・気が滅入っている人・気分転換がしたい人 是非読んで欲しい。こんな生き方もあるんだなぁって思いますよ。彼はモノの見方がおもしろいです。旅先で出会ったモノ・人・さまざまなココロの風景がこんな挿絵と共に書き綴られていて、すんなり読めます。ぼくもクタビレた時にパラパラとめくってます。

島居祐示 『成り行きはぼくの味方』 KTC中央出版




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2004.7.6


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