司法書士 福井武男事務所

<所属>
愛知県司法書士会 第1286号
簡裁訴訟代理認定番号 第308082号
【多重債務関連費用】
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福井武男ブログ

敷金返還請求

敷金とは、賃貸借契約において賃借人の負担する債務を担保する目的で、賃貸人と賃借人との合意に基づき賃貸人に交付される金銭であって、賃貸借契約終了後建物の明渡しがなされた時点で、賃借人の責任による被害があれば、その賠償金に充当され、なければ賃借人に全額返金されるというものです。

 

敷金の返還にともない争いになるのは次の2点です。

 

@原状回復が何を指すか>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

通常、契約書には、「賃借人は原状回復すること」との記載があることが多いですが、この原状回復がどのような意味かが問題となります。

この原状回復とは、「通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損を復旧すること」を意味します。

つまり、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではありません。

居住していればそれにともない、建物は劣化するのが通常ですし、その分は月々の家賃で補填されています。

 

A賃借人に不利な特約は有効か>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

通常の使用によって生ずる程度を超えない損耗であっても、契約書上で特約があれば、賃借人が負担しなければならないか。

 

これは消費者契約法により無効とできます。

 

消費者契約法とは、平成13年4月1日に施行され、消費者と事業者との間には情報の質及び量ならびに交渉力の差があることを前提として消費者が契約を否定できるようにした法律です。

 

この法律の施行日移行に賃貸借契約を更新していれば、賃借人に不利な条項は無効とすることができます。

 

判例(平成17年12月16日)
通常損耗を賃借人に負担させることができるかどうかについて判断した最高裁判所の判決です。

 賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃貸物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃貸物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。
 それゆえ、建物の賃貸借に置いては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の原価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。
 そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。

 

通常に使用していて発生するような汚れは、当然に賃貸人が負担すべきであり、賃借人に負担させるには厳格な要件が適用されることになります。今回のケースでも契約書に別表をつけ、賃借人が負担すべきものを詳細に特定していましたが、それでも別表の文言では、賃借人が通常損耗分を負担する趣旨が明白とは言えないと最高裁は判断しています。  つまり、ほとんどのケースで通常発生する汚れを賃借人負担とすることができないことになります。

 

【まとめ】
敷金は賃借人の故意・過失がなければ原則として全額返金されるものです。しかしながら、賃貸人は、何らかのクレームをつけ、返金を逃れようとします。

何が賃借人負担であるか等の基準は旧建設省が出しているガイドラインにより明確化されています。

勿論、自らの責任による毀損は賠償義務がありますが、それ以外については、賃貸人が負担すべきものです。敷金を取り戻すためには、これらの知識を身につけた上で、毅然とした対応で交渉することが必要です。

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